
この分野のアドバイスは、たいてい「形容詞を足しなさい」と言います。ジューシー。よだれが出る。手作り。その直感は逆で、だからこそ多くのメニューの説明文が、疲れきったコピーライターが町じゅうの店をまとめて書いたような文章になってしまうのです。
メニューの文章は、料理への褒め言葉ではありません。仕様書です。その唯一の仕事は、お客様をどれにしようからこれにするへ動かすことであり、その仕事をするのは名詞と動詞です。何が入っているのか、厨房が何をしたのか、どこから来たのか。それ以外はすべて、席で待たされているお客様がかき分けて読む水増しにすぎません。
以下では、繰り返し使えるメニューの書き方の型、18の書き換え例、紙のメニューとデリバリーアプリで変わる文字数のルール、そしてほとんどのガイドが飛ばす法律上の線引きを扱います。
要点:良いメニューの説明文は決まった順番に従います。主役の食材、調理法、産地または仕入れ先、そして五感に訴える一語。そして20語以内で止めます。注文の判断を変えない言葉は、すべて削ってください。オンラインでは最初の一行に情報を前寄せします。残りはサムネイルの後ろで切られるからです。
メニューの書き方を決める5つの枠
この順番で毎回書けば、チームの誰が書いても同じ結果になります。真実として書けることがない枠は、飛ばしてください。形容詞で埋めてはいけません。
- 主役の食材。売りたいものそのもの。最初の名詞、最初の位置に。
- 調理法。厨房が何をしたか。煮込む、冷燻にする、21日間熟成させる、備長炭で炙る。調理法は飲食店が持つ最も安い高級シグナルです。書くのは無料、偽るのは高くつきます。
- 産地または仕入れ先。ただし本当のときだけ。農場、地域、漁船、製粉所。仕入伝票を出せないなら、この枠は削ってください。
- 五感に訴える一語をひとつ。ひとつだけです。食感か温度か、両方は書きません。ぱりぱり、キンと冷えた、スプーンで切れる、舌が軽くしびれる。
- 止める。20語。これが上限です。
小皿を5つ横一列に並べ、それぞれに食材をひとつずつ、5つ目は空のままにした様子。メニューの説明文をつくる5つの枠
次に削除テストを行います。要になりそうな語をひとつずつ取り出し、それを削ってお客様の判断が変わるかを問います。新鮮なは変えません。古いと宣伝する店はないからです。絶品も変えません。当店名物も変えません。45日熟成は変えます。柚子は変えます。2人前は変えます。
この型は機械的だから、そのまま大きくできます。紙のメニューでも、デジタルメニューボードでも、キッチンカー メニュー表デザインでも、デリバリーアプリの中でも同じように働き、厨房に雰囲気ではなく仕様書を渡します。メニューエンジニアリングとも噛み合います。どの品が利益を担っているかが分かれば、どの10品から書き直すべきかも分かります。
18のメニュー説明文、書き換え前と後
各組は書き換え前 → 書き換え後の順です。斜体の注記が、違いを生んだ決め手の編集です。書くのと同じ丁寧さで撮ってください。ページのもう半分はメニュー写真の料理撮影のガイドが扱っています。
前菜と小皿料理
- イカフライ。「カリッと揚げたイカフライ、マリナーラソース添え」→「イカの塩胡椒揚げ、米粉衣、レモンアイオリ」米粉と書けば食感の理由が伝わる。カリッとは主張しているだけ。
- フムス。「絶品の自家製フムス、温かいピタ添え」→「ひよこ豆のフムス、タヒニとレモンで攪拌、カラマタオリーブオイル」褒め言葉ひとつを、実在する材料ふたつと交換した。
- 手羽。「よだれの出る手羽、当店特製ソース和え」→「塩水漬けの手羽を二度揚げ、コチュジャンと蜂蜜。辛さは控えめか、容赦なしか」特製ソースは何も言っていない。今は味に名前がある。
- ブラータ。「新鮮なブラータ、トマトとバジル添え」→「ブラータ、エアルームトマト、バジル、熟成バルサミコ、ちぎったサワードウ」新鮮なを外し、付け合わせを入れた。どのみちお客様がスタッフに尋ねる内容。
- スープ。「愛情を込めて作った濃厚で食べごたえのあるトマトスープ」→「トマトをにんにくと6時間ロースト、仕上げに生クリーム」時間は証拠になる。愛情を込めては証拠にならない。
メイン
- ステーキ。「絶妙に焼き上げたリブロース、季節の野菜を添えて」→「45日熟成リブロース、オーク薪で焼成、骨髄バター、焦がしリーキ」曖昧な形容詞を、数字と燃料と部位に入れ替えた。
- パスタ。「ローマの定番、クラシックなカチョ・エ・ペペ」→「トンナレッリ、ペコリーノ・ロマーノDOP、鍋で煎った黒胡椒」材料3つが、形容詞ひとつと歴史の講義に勝つ。
- バーガー。「当店名物、肉汁あふれるバーガー、全部入り」→「ドライエイジングの肩肉とブリスケット、スモークチェダー、シャロットのピクルス、ポテトバンズ」全部入りは、腹を空かせたお客様が知りたいことを隠している。
- カレー。「本格チキンカレー、ライス付き」→「鶏もも肉のケララ風ココナッツカレー、カレーリーフ、ブラックマスタードシード」本格は主張。地域名とスパイス2つは証拠。
- サーモン。「新鮮な大西洋サーモンのソテー、完璧な焼き加減で」→「フェロー諸島産サーモン、皮はパリッと、焦がしバター、ケッパー、ディルポテト」新鮮なが装っていた仕事を、産地が実際にやっている。
デザート
- チョコレートケーキ。「濃厚なチョコレートケーキ、チョコ好きの夢」→「小麦粉不使用のダークチョコレートケーキ、ペルー産カカオ70%、塩味のクレームフレーシュ」パーセンテージひとつと産地ひとつが、決まり文句ふたつより売る。
- チーズケーキ。「クリーミーなニューヨークスタイルのチーズケーキ」→「焼きチーズケーキ、バスク風の焦がし表面、カルダモン。2人で分けられます」スタイル名に加えて、誰も書いてこなかった「分けられるか」の答え。
- アフォガート。「バニラアイスクリームにエスプレッソをかけて」→「タヒチ産バニラのジェラートを、ダブルエスプレッソで溺れさせます。90秒、それから食べてください」食べ方の指示は、材料を並べるより強く背中を押す。
- ティラミス。「伝統的なイタリアンティラミス、店内手作り」→「マスカルポーネのティラミス、サヴォイアルディをエスプレッソとマルサラに浸して、カカオ」店内手作りは当たり前。売っているのは浸す工程。
ドリンク
- マルガリータ。「クラシックなマルガリータ、シェイクして爽やかに」→「ブランコテキーラ、ライムは1杯ごとに搾る、アガベ。塩はご希望に応じて」1杯ごとに搾るは、確かめられる運用上の事実。
- グラスワイン。「すっきり爽やかな白ワイン」→「アシルティコ、サントリーニ島。火山質、高い酸、レモンを搾ったような飲み口」まずぶどう品種と土地、それから正直な特徴をひとつ。
- アイスコーヒー。「当店ブレンドの絶品アイスラテ」→「ダブルリストレットを氷に、成分無調整牛乳、エチオピア ナチュラル。ブルーベリーの風味」名前のある風味は、何も説明しない「当店ブレンド」に勝つ。
- 自家製ソーダ。「自家製レモネード、甘酸っぱく」→「レモンとタイムのソーダ、毎日搾りたて、甘さ控えめ。おかわり自由」おかわり自由の一行は、どんな形容詞より多くのお客様を動かす。
18品のうち14品は、書き換えて短くなりました。それが普通で、この型が飲食店のメニューに何をするかの、いちばん分かりやすい例です。
文字数と語り口:店内飲食とデリバリーアプリ
同じ料理に、説明文が2つ必要です。お客様がしている作業が、2つとも違うからです。
店内飲食のメニュー
お客様は紙のメニューを順番に読み、隣の料理と比べます。だから12〜20語が実用的な範囲で、語り口には店が売っている体験を少し乗せられます。書き出しは変えてください。「じっくり煮込んだ」で始まる品が5つ並ぶと、ページは平板になります。いちばん長い一行は、利益の大きい一皿に与えてください。長さは、意図しなくても重要度のシグナルになります。残りはページが呼吸できる程度に短く保ちます。ページそのものを作り直すなら、飲食店のメニューデザインがレイアウトを、メニューボードのデザインがカウンターサービスを扱っています。
デリバリーアプリの掲載情報
皿に盛った料理をチョークの四角でぎりぎりに囲み、テーブルセッティングは枠の外にはみ出している様子。デリバリーアプリが掲載をどう切り取るか
オンライン注文はすべてを変えます。メニューの説明文も、それに合わせて変わらなければなりません。誰もページを順番に体験しません。お客様はグリッドをスクロールし、文章は1〜2行で切られます。切れる位置はアプリ、端末、文字サイズによって変わります。最初の60文字しか残らないつもりで書いてください。主役の食材と調理法はそこに入れ、残りはタップしてくれた人へのおまけです。その冒頭の一行にブランドらしさは要りません。確実に見られる唯一の文字数を使ってしまうからです。DoorDashは自社でメニュー項目についての加盟店向けガイダンスを公開しており、同じ前寄せの理屈が当てはまります。Uber Eatsの加盟店チームは、料理の説明文と写真をそろえるとメニューの注文転換率が最大50%上がると述べています。ファネルの残りについては、ウーバーイーツで注文を増やすガイドとDoorDashで注文を増やす版をご覧ください。
まず削るべき言葉
見つけ次第削るもの。絶品、よだれが出る、旨味たっぷり、悶絶、たまらない、絶妙に、ボリューム満点、当店名物、世界一、愛情を込めて、自家製、そして「〜のハーモニー」で始まる一行。どれも料理そのものではなく、料理についてのあなたの意見を述べています。お客様は、中身のない星5レビューを割り引くのと同じように、これらを割り引きます。ひとつずつ、具体的な情報に交換してください。部位、時間、温度、場所、生産者に。
料理のジャンルで言葉は変わる
異なる国の似た麺料理を3つ横に並べた様子。メニューの言葉をジャンルごとに使い分けるべき理由
料理名を、ぼんやりした言葉に訳してしまわないでください。「牛肉の麺スープ」はフォー・ボーが運んでいるものを捨てますし、「豚肉の辛い煮込み」はチゲではありません。本当の名前を書き、短い一言で一度だけ補足して、あとはお客様を信じてください。例外は、その市場に本当に通じない語です。その場合は、分かる手がかりを先に、本当の名前を後に置きます。料理別AIフード撮影のページでは、パスタ写真の撮り方から寿司 画像の撮り方まで、語彙と一緒に見せ方も変わる様子を紹介しています。
ほとんどのメニュー解説が飛ばす法律の線
メニューの説明文は広告です。ですから、その線の近くで書き始める前に、境界がどこにあるかを知っておくことが大切です。説明文は期待を作り、厨房はそれに応えなければなりません。飲食店にとって本当にリスクのある書き方が、2種類あります。
アレルギーと食事制限の表記
衣をつけた魚とそのままのじゃがいもを、ひとつの油槽で一緒に揚げている様子。グルテンフリー表記の裏にあるコンタミネーションの問題
米国連邦のアレルゲン法、すなわちFALCPAと、2023年1月1日からごまを9番目の主要食物アレルゲンにしたFASTER法が対象にするのは包装食品であって、厨房があなたのために調理する一皿ではありません。飲食店にアレルゲンの表示を義務づける連邦規則はありませんが、独自に義務づけている州はいくつかあります。これは両方に効きます。表示する義務はありませんが、表示したものはすべて表明になります。アレルギーのあるお客様は、あなたのメニューを約束として受け取ります。ですから、衣をつけた食材と油を共有しているフライヤーの料理の横に「グルテンフリー」と書くのは、裏づけられない食事制限の表示です。確実なものには「〜を含む」を、共用設備には「〜も扱う厨房で調理しています」を使い、食事制限の質問はメニューを指さすのではなくスタッフが答えられるように教育してください。20店舗以上のチェーンには別の義務があります。FDAのメニュー表示規則がカロリー表示を求めています。
産地・等級・仕入れ先の表示
農場の名前を出すのは、仕入伝票を出せるときだけにしてください。よくある落とし穴は品種と等級の表記です。和牛は品種を指す語で広く使われていますが、神戸は保護された地域呼称で、日本国外の厨房でこれを正当に名乗れる店はほとんどありません。米国の原産地表記は今年さらに厳しくなりました。USDAの米国産表示の任意規則により、2026年1月1日以降、「Product of USA」と書くには、米国で生まれ、育てられ、と畜され、加工された家畜であることと、それを裏づける書類が必要です。FTCのMade in USA基準は広告全般を規律しており、メニューは広告です。
デリバリーアプリでは、写真が仕事の大半をする
紙のメニューでは、言葉が掲載のすべてです。アプリでは説明文と写真が体験のすべてで、スクロールを止めるのはサムネイルです。灰色でライティングの悪い一皿に完璧な文章を添えても、料理に見える写真に平凡な文章を添えたほうが勝ちます。文章を書くことと写真を撮ることは、ひとつの仕事として進めてください。メニュー表に写真を載せるほうが、文章だけを直すより数字は速く動きます。そこがFoodShot AIの出番です。スマホのスナップを約90秒で4K・メニュー品質の一枚に変えるので、新しい文章の横に並ぶ写真が弱点にならずに済みます。デリバリーアプリ向け料理写真と、ウーバーイーツ写真の要件・DoorDash写真の要件の仕様もあわせてご覧ください。
今あるメニューを20分で見直す手順
- 品目リストを書き出し、限界利益の順に並べます。直すのは上位10品だけです。
- すべての行を数えます。20語を超えたものは、書き直すのではなく削ります。
- 形容詞に丸をつけます。ひとつずつ、名詞か調理法か数字に置き換えます。
- ページを声に出して読みます。2品が同じ書き出しなら、片方を変えてください。ステーキとサラダが同じ書き出しを共有してはいけません。
- 産地の表示すべてに、裏づけの仕入伝票があるか確認します。
- 各品の横の写真を見ます。文章が写真に勝ってしまったなら、ボトルネックは写真です。メニュー料理写真の撮り方とメニュー撮影のガイドが扱っています。
手順2を店のルールにすれば、メニューの説明文はこの先ずっと短いままです。簡単で退屈な習慣ですが、だからこそ効き続けます。ほかの店が「美味しい」に代わる言葉をまだ探している間も。
よくある質問
メニューの説明文は何語くらいが適切ですか?
店内飲食なら12〜20語です。オンライン注文では、スマホで注文するお客様が切られた一行を見るので、情報を前に寄せます。6語未満だと、たいてい調理法か材料、つまり実際に売っている2つの枠を飛ばしています。20語を超えると、お客様は途中で読むのをやめ、もっと単純な品を選びます。
メニューの説明文は売上を増やしますか?
おそらく増やしますが、引用される数字には気をつけてください。有名な「説明的なラベルで売上27%増」は2001年のコーネル大学のブライアン・ワンシンク氏の論文にさかのぼりますが、同氏は後にコーネル大学から研究不正を認定され、辞任し、18本の論文が撤回されています。俗説として扱ってください。信頼できる根拠は、実際の行動を計測しているプラットフォームと、あなた自身の変更前後の品目構成比から出てきます。
すべての料理に説明文が必要ですか?
いいえ。説明が要る料理と、利益を担う料理を説明してください。チーズバーガーに一段落は要りませんが、$100の高級レストランの一皿には要ります。よく知られた名前の横の余白は設計上の判断であり、それが、実際に書いたメニューの説明文をより大きく響かせます。
デリバリーアプリではルールがどう変わりますか?
3点です。冒頭の一行だけが確実に見える部分なので、主役の食材はそこに置きます。あなたの文章が競う相手は、ひとつ上の品ではなくサムネイルです。そしてスタッフが横にいないので、いちばん多い質問、つまり辛さ、量、何が付くかは、文章の中で解決します。デリバリー中心の店舗はデリバリー専門店のメニュー設計とデリバリーアプリの料理写真もご覧ください。
メニューの説明文はAIに書かせられますか?
下書きはできますが、検証はできません。モデルはあなたの仕入れ先も、熟成日数も、アレルゲン管理も知らないので、その3つとももっともらしい版を作り出します。リスクがあるのは、まさにそこです。リスクの低い品の初稿に使い、そのうえで5つの枠と削除テストはご自身で当ててください。ツールの比較はAIメニュー作成ツールで行っています。
ワインやカクテルのメニューのコツは?
まずぶどう品種か基酒、次に土地、それから構造の特徴をひとつ。同じ5つの枠を、より短く使います。誰にも確かめられないテイスティングの詩は省いてください。見せ方の半分はワイン商品撮影とカクテル撮影のガイドが、接客体験全体の語り口は飲食店ブランディングのガイドが扱っています。
メニューの説明文は、飲食店が持つ最も安いレバーです。10品書き直すのは午前中いっぱいの仕事で、費用はゼロ。値上げと違って、嫌がるお客様もいません。利益を生む料理から始めて、あとは型に書かせてください。
